愛知県名古屋市に本社を置き、東海地区を中心に事業を展開している、エネルギー事業者の東邦ガス株式会社様(以下、東邦ガス様)。電力・ガス小売営業区域内に約5万台の業務用小型空調機GHP(GAS ENGINE HEAT PUMP AIR-CONDITIONERS)を設置し、約4,000件のお客様にGHP等保守サービスを提供しています。35年超の実績を有するGHP等保守サービスは、お客様のビジネスや地域社会の発展に貢献し続けるために日頃から品質向上に努めており、電話応対力の向上を目指して2023年1月に「Omnia LINK」を導入しました。
導入の目的
オペレーターの応対品質と、お客様満足度をさらに向上できる仕組みが必要だった
2022年に創立100周年を迎えた東邦ガス様は、地域の発展と持続可能な社会の実現に向けて努力を続けています。その東邦ガス様が提供する業務用小型空調機GHPは、ガスエンジンで駆動することから電力消費量が少なく、高効率かつ省CO2で環境にもやさしい空調システムです。このGHPをお客様に長く安全にお使いいただくため、保守事業を展開し、定期点検・故障時メンテナンス・遠隔監視などのサービスを提供しています。2017年からは専門組織を編成し、GHP保守事業の高度化を図ってきました。
「当社のGHP保守事業の事業ポリシーは『mi-kan-sei』です。サービスに完成はなく、常にサービスを進化させていくことを心がけています。お客様にどのようなニーズがあるかを伺って、事業を広げています。現在は都市ガスで動くGHPだけではなく、プロパンガスで動くGHPや、電気で動くEHPの定額制の保守契約制度も用意しました。空調機器はどうしても経年によって修理の箇所が増えてきて、メンテナンス費用がかかるようになります。そうしたお客様の不安感を解消するため、当社はメーカー設計耐用年数を超える15年間ご契約いただける定額制のサービスを提供しています」(小川様)
東邦ガス株式会社
エネルギー計画部
事業管理グループマネジャー
副部長
小川 聡嗣 様
また、2019年度に「デジタル化全体構想2027」を策定し、ペーパーレス化やRPA化、電子決裁や社内Web受付システム、メンテナンスのサービス員用のモバイル端末などを実装。業務環境のデジタル化を進め、業務プロセスの改善と、AI導入に備えた基盤作りを進めてきました。そして、次なる課題として取り組んだのが電話オペレーターの定着と応対品質の向上、そしてお客様満足度のさらなる向上でした。
「ブランドはお客様の頭の中にあるもの。ですので、東邦ガスのブランディングのカギを握るのは、お客様との接点にいる、現場のサービス員とコールセンターのオペレーターです。この両者の意識を高めるため、クレドを作成して想いを共有するとともに、自身の成長を実感できる仕組みを導入しました」(小川様)
東邦ガス様はまず、コールセンター向け品質改善プラットフォーム「Qua-cle(クオクル)」を導入し、オペレーターの成長を促進。その後の定期的なモニタリングにより、オペレーターに成長を実感してもらうことで、定着率向上を目指しています。次に、オペレーターの応対品質を高めることで、お客様満足度のさらなる向上を図るための仕組みとして、2023年1月に「Omnia LINK」を導入しました。
選定のポイント
システムの性能、将来への対応、誠実な姿勢を高く評価
2017年にGHP保守チームのお問い合わせ窓口を創設した当初は、外部企業へ一部の窓口業務を委託していました。その後、期待していたような効果が得られず、社内での運用に切り替えたのです。しかし、オペレーターを管理したり、新しいオペレーターを教育したりする担当者の負荷が大きいという課題がありました。その改善策を模索する上で候補にあがったのが「Omnia LINK」です。
東邦ガス株式会社
エネルギー計画部
事業管理グループ
GHP保守チームチーフ
課長
石河 隼人 様
「以前は固定電話を使用していたため、オペレーターの通話時間が長くなって、何か問題が発生していそうな雰囲気があっても、電話が終わるまでその内容を把握できませんでした。こうした問題は、お客様へご迷惑をかけてしまいますし、オペレーターのモチベーションにも影響があります。中には早期離職の理由になることもありました。もっと早くに状況がわかれば、より良い解決策を考えることができるはずです。そこで、オペレーターの状況がリアルタイムでわかる、システムの導入を検討しました」(石河様)
「Omnia LINK」の導入検討時、最終的に4社のクラウド型コールセンターシステムを比較検討しました。そして、セキュリティ対応、導入支援、コール設計、通話品質、管理機能、在宅勤務対応、費用などの項目から総合的に判断しました。また、検討時は2024年度の導入を予定していましたが、システムの基本性能、将来に向けた対応、費用面の優位さ、そして互いの姿勢や行動から築かれた信頼感から、約2年前倒して導入したのです。
「ポリシーである『mi-kan-sei』の『せい』は、『誠実なこころ』の意味が含まれています。忠実ではなく誠実です。忠実な会社は、こちらの発言をそのままやるので、魅力がありません。一方で、誠実な会社は、間違っていることは違うと指摘してくれます。ビーウィズは誠実な会社でした」(小川様)
「音声テキスト化機能の識字率が最初は低かったのですが、正直に開示していただき、本稼働までしっかりとサポートしていただきました。そうした透明性のある姿勢も、ビーウィズを評価したポイントの1つです」(石河様)
導入の効果
顧客満足度が98%、オペレーターの平均就業期間が1.4倍に上昇
「Omnia LINK」の導入時には、ネットワークの不具合があり、インターネットに接続しづらい、声が遅れて聞こえるなどのトラブルが起きました。しかし、固定電話による受付との併用期間を設けて、徐々に導入を進めたことで、大きな問題には至りませんでした。また、新システム導入によって、オペレーターが戸惑うということもありませんでした。
「ずっと電話の応対を監視されるのは… …という意見や、固定電話からPCでの電話応対に変わることで、使い勝手に対しての不満が出るかもと予想していたのですが、杞憂でした。オペレーターからは、ずっと見られていることで安心して電話できるという意見や、会話内容がテキスト化されるので、電話応対に集中できるという意見もありました。PCでの電話応対もビーウィズに来ていただいて、画面を見ながらご説明いただけたので、運用開始時の苦労はそこまで感じなかったです」(藤田様)
各オペレーターの通話内容がリアルタイムで把握できるようになり、実際の会話内容がすぐに聞き直せるようになりました。おかげでオペレーターも管理担当者も、安心して応対が可能になったといいます。また、音声のリアルタイムテキスト化やAI-FAQ候補の自動表示機能により、電話保留率が改善し、お客様をお待たせすることが少なくなりました。
東邦ガス株式会社
エネルギー計画部
事業管理グループ
GHP保守チーム
主任
藤田 拓生 様
「以前は、順番に電話を取る仕組みを作っていたのですが、どうしても電話を取るオペレーターが偏る傾向にありました。今では、対応したコール数も見える化できていて、オペレーター業務の平準化を進められています」(藤田様)
管理担当者が特に導入効果を感じているのは、オペレーター自身が成長を実感し、顔つきが変わってきたことです。オペレーターの1年以内の離職数は減少し、2023年3月時点の平均就業期間は前年比で1.4倍になりました。併せて、お客様に対して実施したアンケート調査では、顧客満足度が前年より2%増加し、98%となりました。これは、定期的なモニタリング評価によるオペレーター自身の成長実感と、「Omnia LINK」による電話応対品質の向上が、相乗的な効果を生み出している結果といえるでしょう。
「『Omnia LINK』の導入で、期待していた効果を得ることができました。とても魅力的なシステムだと思います。また、このテキスト化機能やAI-FAQ機能など、システムを構成する機能には、コールセンター以外の場面でも活用の可能性を感じていて、社内の他部署にも紹介しています」(小川様)
これからも、24時間受け付け可能なWebシステムやボイスボット、ビッグデータを活用した故障予測や、適切な部品・処置の自動提示などで、お客様満足度のさらなる向上を目指していくという東邦ガス様。従業員エンゲージメントについても同様の方針で、多様な働き方の実現に向けて「Omnia LINK」のブラッシュアップや、ビーウィズのアドバイスや提案に期待しています。