アイシン健康保険組合様は、アイシングループ社員とその家族約16万人に及ぶ健康保険を取り扱っています。愛知県を中心に全国へ広がる事業所は72拠点。膨大な数の組合員と業務委託業社からの電話対応は煩雑を極め、その効率化は大きな課題でした。そこへコロナ禍が重なり、電話対応工数の低減と在宅勤務の実現を目的にOmnia LINKを導入しました。
導入の目的
電話対応工数の低減による業務効率化と在宅勤務の実現へ
コロナ禍の前から電話対応には大きな課題を抱えていました。何しろアイシングループの組合数が社員とその家族を合わせて約16万人います。その方々が例えば、配偶者を扶養家族に入れたい、子供が就職したなどの保険加入・資格喪失や傷病手当についてなど、多様な問い合わせ電話をかけてきます。加えて業務委託業社からの電話もあります。これを電話1回線16人体制で対応していました。1回線で20件まで受電できるのですが、狭い事務所内で常に誰かが電話対応をしているほどの受電数でした。これでは、スタッフも本来業務に注力できません。何より問い合わせをいただく組合員に迷惑をおかけしている懸念があります。
アイシン健康保険組合 事務長 山田様
そんな折、コロナ禍になり早急に在宅勤務の体制を整備する必要となりました。在宅勤務は、コロナ前から働き方改革として課題に挙がっていましたが、コロナ禍によって早急に対応しなければならない事案となりました。さらに、電話対応工数の低減による業務効率化、迅速な電話対応による組合員のCS向上などの課題も合わせて解決する必要性が明らかとなったのです。
選定のポイント
専門用語を排した誠実でわかりやすい説明に信頼感を抱く
課題を解決するために、まずどんな方法があるか洗い出してみました。一つはコールセンターに外注すること。二つ目はコールセンターシステムを導入する。さらに、携帯電話を職員に配布する案も考えました。しかし、コールセンターへの外注はコストが高く、携帯電話を使うのも事務所にいるのと全く同じ内線環境にはできないなど様々な問題があります。結局、システムの導入が良いだろうと2社に絞りました。1社がビーウィズで、もう1社はメジャーな情報通信企業でした。
2社のプレゼンテーションを受けて、ビーウィズの説明がすごくわかりやすかった。また、プレゼンに関するやり取りの中で、対応の迅速さときめ細やかさが感じられました。これが決め手になりました。実は費用はビーウィズの方が高かったのですが、もう1社のプレゼンが非常に専門的で難解でした。私たちはコールセンターではありませんから、専門用語はあまり理解できません。導入後も長くお付き合いをする中で、様々な情報のやりとりやレクチャーを受けることもあるでしょう。そうした時、わかりづらいのは大変困りますし、対応の迅速さときめ細やかさはとても重要になります。ビーウィズの説明は、その後のより建設的でスムーズなお付き合いをイメージさせるものでした。
導入の効果
電話応対業務の効率化と在宅勤務による働き方改革の推進
2021年の5月に仮導入、7月に本格導入となりました。Omnia LINKは、設定によって私たちの仕様にカスタマイズしていくシステムなので、こちらの要望にどれだけ対応いただけるかが重要となります。その点、対応力の質・スピード共に非常に高くて助かりました。お願いしたことは、ほぼ対応していただいたと思います。「できません」という回答がなく、必ず検討いただけるのも素晴らしいですね。全職員を対象にしたオペレーション研修やトレーニングも行っていただき、アフターフォローも万全でした。
導入の効果として顕著なのは、まず業務効率化。自動応答によってニーズ別に番号で振り分け、それぞれのニーズに詳しい職員につなげる仕組みです。これにより、電話が鳴る回数が大きく減少。電話対応工数の低減により業務効率が大幅に向上しました。さらに、在宅用ソフトフォンを活用することで事務所の電話を内線化。周囲の音をシャットアウトする高品質のノイズキャンセリング・ヘッドフォンを支給することで、自宅でも事務所と同等の環境を再現できるようになりました。おかげで、在宅勤務が定着し週に4日在宅勤務の方もいます。小さなお子さんがいる方、介護で忙しい方、遠方で通勤が大変な方など、多様な人材を雇用できる環境が整い、働き方改革が大きく前進しました。
問い合わせ電話のログを記録して分析できるのも大きな効果といえます。Omnia LINKには音声認識機能があり、問い合わせ電話のやりとりをリアルタイムでテキスト化することができます。音声だと莫大な工数がかかる聞き起こしも無用。どういうお問い合わせが多いか、それに対してどのような回答をしているか、また、設定したキーワードが出た時、最終的にどのような回答に辿り着いているかなど、きめ細かな分析をビーウィズのデータ分析エンジニアにサポートしてもらっています。これにより、電話対応の改善を継続して行うことが可能です。また、電話のログ記録により言った言わないのトラブルも防げるのです。
LINEを活用したアンケートも実施して新システムの改善に役立てています。アンケート結果からアイシン健康保険組合が新電話システムを導入したことがまだ十分に知られていないことや、アナウンス内容に不備な点があることが判明したので、組合員や関係者への周知を行ったり、アナウンスの見直しをするなどの改善を実施しました。問い合わせ電話自体を減らす試みも必要なのではないか。そんな考えのもとQ&A小冊子も作成しました。ここでもどのような質問を載せるべきかという重要な判断を、普段の電話対応のログから正確に導き出すことができました。また、イベント用窓口の設置をスピーディに対応いただき大変助かりました。電話の開通工事も不要で、オーダーから1時間後には電話番号を付与していただきすぐに専用窓口を設置することができました。Omnia LINKの導入により多くの改善が実現できましたが、組合員のCS向上についてはまだまだやるべきことがあると感じています。今後はスマートフォン(LINEアカウント)にQ&Aを掲載し、閲覧者の選択によって電話やWebサイトなど、適宜誘導できるようにすることも視野に入れています。お客様の声が集まるところには常に課題があり、そこには改革の種が潜在しています。Omnia LINKは、電話業務だけでなく、あらゆるサービスの品質向上を継続させるために欠かせないシステムだと実感しています。