アウトバウンドダイヤラーの3つの種類
アウトバウンドダイヤラーとは、アウトバウンド業務の際に架電するリストを登録しておくと、自動で発信する機能です。
オペレーターがリスト順に手で電話をかける(通称「てがけ」)場合に比べて、かけ間違いがなくなるほか、自動発信のためオペレーターの作業効率が向上するというメリットがあります。
<ダイヤラーのメリット>
アウトバウンドダイヤラーは、大きく以下の3種類に分かれます。
〇プレディクティブ・ダイヤラー
次々と発信し、相手につながると応対可能なオペレーターにつなぎます。コールセンターにおけるオペレーターの稼働全体を「1倍」とした場合、「1.1~2倍」程度の倍率で自動発信します。
<メリット>3種類の中で最も発信効率の高い方法です。
<デメリット>発信量が多くなる(倍率が高くなる)と、電話はつながったもののオペレーターが対応できず、誰も話さないという通話放棄の状態(アウトバウンドオーバー)が生じてしまいます。アウトバウンドオーバーの際にIVRを流したり、一定の秒数が経過してもオペレーターが空かなかった場合に切断したりといった設定が可能です。
〇プログレッシブ・ダイヤラー
オペレーターが応対可能になるとシステムが自動発信します。プレディクティブ・ダイヤラーは倍率が「1.1~2倍」程度ですが、このプログレッシブ・ダイヤラーの倍率は「1倍」です。
<メリット>オペレーターの稼働に合わせて自動発信するため、アウトバウンドオーバーのリスクを回避することができます。
<デメリット>発信してもリストの不備やつながらないケースなどがあるため、倍率が1倍ではオペレーターの空き時間が増え、稼働率が低下します。
〇プレビュー・ダイヤラー
オペレーターの準備が整った段階で、自分で発信の操作を行います。上記の2種類がどちらかと言うと新規獲得のアウトバウンドだとすると、このプレビュー・ダイヤラーはリピーター向けの発信に使用するケースが多いです。例えば「通販の商品を購入済みですでに詳細な顧客情報がある相手に返品の事後対応をする」などのケースが想定されます。
<メリット>オペレーターが顧客情報をしっかりと確認してから自分のタイミングで発信するため、手厚い応対を行うことができます。
<デメリット>3種類の中で発信効率は最も劣ります。
<ダイヤラーの種類と効率性>
上記3種類以外にも、「パワー・ダイヤラー」という強制的に発信するものもあります。オペレーターの稼働状況に関わらず一定間隔で強制的に発信を続ける方法ですが、あまり使われることはありません。
倍率の設定において大事になること
実際のアウトバウンド業務において、番号の桁数が足りないなどのリストの不備に加え、すでに電話番号が使われておらず「おかけになった電話番号は、現在使われておりません」といったNTTのアナウンス(通称「Nアナ」)が流れることがあります。そのため、倍率が「1倍」のプログレッシブ・ダイヤラーでは、前述のようにオペレーターの待ち時間が長くなって間延びする可能性があります。
逆に、作業効率を高めようとプレディクティブ・ダイヤラーで倍率を高く設定すると、アウトバウンドオーバーによってお客様からクレームが来たり、評判を損なったりするだけでなく、オペレーターも休む暇がなくなって疲弊してしまいます。また、つながったのに応対できないと、せっかくのリストが無駄になってしまいます。
こうした事情を加味した理想的な運用モデルとしては、お客様につながったら間違いなくオペレーターが応対してアウトバウンドオーバーを回避し、1回の通話が終わるとオペレーターが一息ついた上で、次の通話に取りかかれるといった形です。これを実現するにはリストの状態を吟味し、どの程度の不備やNアナが発生するかを見極めて、最適な倍率を設定することが何よりも大事になります。
言い換えると、「作業効率」と「レピュテーションリスク(否定的な評判が広まり信用やブランド価値が低下すること)」のバランスを考慮することが重要です。効率だけを追い求めると、通話放棄によって企業のイメージが損なわれますし、それを恐れるあまり倍率を1倍にすると今度はコールセンターの稼働が落ちてしまいます。
リストの状態や案件を踏まえ、放棄が少なくオペレーターが高いパフォーマンスを発揮できる倍率を設定するのがベストだと言えます。
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<ダイヤラー種類別の特徴>
属性別の絞り込みやCTI連携も可能
アウトバンドダイヤラーは、リストを属性別に絞り込むことが可能です。例えば、「男性・40歳以上・近畿エリア在住」などのように、性別、年齢、居住エリアなどでセグメントできます。このほかにも過去の購入履歴や前回の購入から3カ月経過などの条件でソートをかけることが可能です。
この機能を活用すると、「今日は経験豊富なオペレーターがそろっているので、一度しか購入していない、成約が難しい顧客を抽出して発信しよう」「夕方の時間帯なのでファミリー層を選んで架電しよう」などのように、柔軟な運用を行うことができます。
また、CTIと連携することもできます。発信業務による「△月△日に1回目の発信を行ってつながらなかった」などの情報が、CRMの画面に自動的に反映されます。これによりオペレーターが情報を入力する手間が減って作業効率が高まるほか、つながらなかった際の記録も正確に残しておけます。
このようにさまざまに活用できるアウトバンドダイヤラーですが、使う際には「同じ相手に何回かけるか」を事前に決めておくほうがいいでしょう。1回目の発信でつながらなくても、一定の時間を空けて、2回目、3回目まで発信し、それでもつながらなければやめる、あるいは5回目でやめるといった具合です。
あまり何度もかけるとお客様に嫌がられるだけでなくクレームになりかねません。ですから回数の見極めは大切です。ここでは「成約率」と「レピュテーションリスク」とのバランスを見極めて、ふさわしい回数を検討することが求められます。ちなみに、実際の運用現場では「3回かけてつながらなければやめる」というケースが多いようです。
アウトバウンドダイヤラーは一定規模の発信ボリュームがある場合に活用すると、効率的なセンター運用が期待できます。上記の内容を参考にしていただき、案件に合わせてうまく使ってみてください。
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