クラウドPBX・コールセンターシステムの
Omnia LINK(オムニアリンク)

学べるコラムなるほど!コールセンターシステム

コールセンターやオフィスにクラウドPBXを導入するということは、IP電話を導入するということでもあります。IP電話は従来の固定電話とは異なり、ネットワークを介して利用するものなので、通話の音声品質の面で不安を覚える方もいらっしゃるかと思います。

そこで今回は、クラウドPBXおよびIP電話の音声品質について学びましょう。

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電話における音声品質の良し悪しとは?

まずは話の前提として、人はどんなことで通話の音声品質の良し悪しを感じるのかを整理しましょう。良し悪しのポイントとして、主に下記の3点が挙げられます。
音声品質が悪いってどういうこと?

(1)音声の遅延


通話の音声が遅延する、つまり自分が話した言葉が相手に伝わるまでに時間がかかると、会話の際にストレスを感じます。

(2)エコーがかかる


音声品質に問題があると、通話の際に自分の声がエコー(こだま)して聞こえることがあります。

エコーの発生原因は、相手の受話音量が大きい場合や、ハンズフリーを利用している場合などにおいて、スピーカーからの音声をマイクが拾ってしまうことです。マイクが拾った音声は、電話を通じて自分に戻ってきます。このとき、通話に遅延がなければエコーを意識せずに済みますし、遅延していれば「エコーが生じている」と意識するわけです。

つまり、エコーには遅延が関係しています。

(3)ノイズや途切れ


通話に「ザーザー」「プツップツッ」といったようなノイズが乗る、音声が途切れ途切れになってしまうといったことも、音声品質低下の現れです。

IP電話の音声品質低下はネットワークが原因であることが多い

IP電話の音声品質が低下する原因として、以下のものが挙げられます。

・ネットワーク品質の低下
・ソフトフォンやハードフォンの問題
・ヘッドセットなどのデバイスや、デバイスドライバの問題
・PCのバックグラウンドで動いているセキュリティソフト等の影響
・音声の圧縮技術の問題
・電話回線の問題

今回はこれらの中でも、代表的な原因と言える「ネットワーク品質の低下」に着目します。

IP電話はネットワークを介して音声データをやり取りしているので、ネットワークの通信速度が低下すると、音声品質に影響を及ぼします。例えば、そもそもネットワークの通信速度が低い/ネットワークに障害が起きている/電波干渉を受けている(とくに在宅環境など)━━といった原因が考えられます。

音声品質の主な指標

私たちは通話の音声品質の良し悪しについて「なんとなく」感じ取っていますが、音声品質にはいくつかの指標があり、数値化できます。主な指標として「MOS値(モス値)と「R値」を紹介しましょう。
音声品質の主な指標

MOS値


MOS値(mean opinion score)は、複数の被験者が音声品質を主観的に評価したもので、各被験者が評価した点数の平均値を求めます。評価は下記の5段階に分類されます。

・非常に良い 5点
・良い 4点
・普通 3点
・悪い 2点
・非常に悪い 1点

「被験者が音声品質を主観的に評価」と書きましたが、次に紹介する「R値」と相関関係があります。機器で測定して求めたR値から、MOS値を推定可能です。

音声を聴いたときの評価を「受聴MOS」、相手と会話をしたときの評価を「会話MOS」と区別することがあります。

R値


R値(Rating factor)は、音声品質を客観的に評価したもので、総合通話品質指標として広く用いられています。R値の算出には下記の式が用いられます。

R = Ro - Is - Id - Ie,eff + A

Ro:雑音感による品質劣化  [例] 通話にザーザーとノイズが入る
Is:音量感による品質劣化  [例]音量が低くて聞こえにくい
Id:遅延・エコー感による品質劣化  [例]相手の声がこだまする
Ie,eff:歪み、途切れ感による品質劣化  [例]通話がプツプツと途切れる
A:利便性要因  [例]モバイル通信の利便性

R値は0~100の数字で表されます。

IP電話の音声品質を数値で知るには


自社で利用しているIP電話の音声品質を、MOS値やR値といった数値として知るには、測定機器を導入して測定する方法と、外部に測定を依頼する方法があります。

一例として紹介するのが、「Voice Pinger(ボイスピンガー)」という計測機器と、「PEXQ」というソフトウェアによる測定です。業界標準の方法による測定で、感覚で語られがちな音声品質を数値化できます。IP電話の端末間で音声品質を計測するので、例えば「在宅スタッフのソフトフォン」と「携帯電話」との通話時の音声品質を知ることも可能です。

音声品質のクラス分け

音声品質の指標に関するお話を、もう少し続けます。

総務省は、IP電話の音声品質についてクラスA~クラスCの3段階のクラスを設けています。クラスAは固定電話並み、クラスBは携帯電話並み、クラスCは携帯電話より劣るとされます。各クラスに求められる指標は下記のとおりです。
音声品質のクラス分け
050番号のIP電話サービスは、クラスCをクリアしています。IP電話の技術は年々進歩しており、音声品質はIP電話が普及し始めた初期よりも向上しました。そのため、電話番号が割り当てられるIP電話サービスを利用するにあたっては、実用上大きな問題は生じないと言えます。

ただし、各IP電話事業者が提供するサービスには、通信速度を保証しない「ベストエフォート型」のネットワークを利用するものもあり、かつ利用者側の環境にも左右されるため、「R値>50」「遅延時間<400ms」という品質が保証されるわけではないということは、理解しておきましょう。

大規模なコールセンターを運営されている企業であれば、計測機器を用いて通話の音声品質を計測し、どのクラスに当てはまるのかを認識しておくとよいでしょう。もし音声品質に問題が生じているようであれば、ネットワークや機器などどこに問題点があるのかを見つけ出し、改善策を検討しましょう。

音声品質はネットワーク構成や宅内環境等にも左右される

ここまで、何度か「音声品質は利用者側の環境にも左右される」と書きました。とくにクラウドPBXを導入するにあたり、どんな要因が通話の音声品質を左右するのか、詳しく見ていきましょう。
ネットワークや宅内環境等が音声品質を左右する

企業の拠点とクラウドPBXをつなぐネットワークの帯域


企業の拠点とクラウドPBXとを接続するネットワークが、帯域を保証する「ギャランティ型」の閉域網である場合は、ネットワークの品質が安定し、音声品質の面でも問題が起きにくいと言えます。ただし、ギャランティ型でも通信が不安定になる可能性はゼロではありません。障害に備えて、メイン回線とサブ回線を用意し、万が一の際にはサブ回線に切り替える体制を整えておくことは、音声品質のみならず、業務の安定化という意味で重要です。

企業の拠点とクラウドPBXとを接続するネットワークがギャランティ型ではなくベストエフォート型の場合は、ネットワークの混雑によって通信速度が低下し、音声品質に影響してしまう可能性があります。

規模やコストといった理由でベストエフォート型のネットワークを用いることは少なくありませんが、その場合もメイン回線とサブ回線を用意して万が一に備えることは、有効です。

オフィスのネットワーク環境


クラウドPBXで通話の音声品質が低下する原因として、社内のネットワーク環境に問題が生じている可能性も考えられます。社内で利用している有線ルーターやWi-Fiルーターの不具合、電波干渉、大量の通信が発生して帯域が不足するといったことは、実際によく起こります。

社内のネットワーク機器がトラブルの原因となっている場合は、機器のリプレイスを含めた根本解決が必要です。

・「ハードフォンなら安心」ではない

上記のように、IP電話の音声品質はネットワーク環境に大きく依存します。IP電話の受発信に使う機器が、PCにインストールされているソフトフォンか、それともハードフォンかの違いは無関係です。IP電話のハードフォンは、オフィスにあるPCやプリンタと同じように、LANケーブル1本でネットワークにつなぐことができます。ネットワークの速度が低下した際はPC等と同じように影響を受けるので「ハードフォンなら安心」というわけではないことは、知っておきましょう。

・QoSの設定も検討しよう

QoS(キューオーエス・Quality of Service)は、通信量が増えて帯域が不足することによる音声品質の低下を防ぐための技術です。QoSでは、例えばIP電話の通信を優先し、帯域を確保するように設定が可能です。QoSは、ソフトフォンだけでなくハードフォンでも利用できます。

ビーウィズ株式会社が提供するクラウドPBX・コールセンターシステム「Omnia LINK(オムニアリンク)」は、QoSに対応しています。ルーター等のネットワーク機器にQoS機能が搭載されていれば、Omnia LINKの通信を優先するよう設定できます。

在宅スタッフのネットワーク環境


クラウドPBXの普及にともなって、在宅(テレワーク)でもコールセンター業務を行うことが可能になりました。テレワークの場合、ソフトフォン端末とクラウドPBXの間に、インターネットが介在します。

在宅では、企業の拠点と異なり閉域網などギャランティ型ネットワークを使うという選択肢は、ほぼあり得ません。一般家庭で使用する通信回線やインターネットは、公共の道路のようなものです。ときには混雑により通信速度が低下して、通話の音声品質に悪影響を及ぼす可能性もあります。

また、自宅で使用しているWi-FiルーターやLANケーブルなどのネットワーク機器にトラブルが起きている、電子レンジ等の電波干渉を受けてきちんと性能が発揮できないといった場合も、やはり音声品質に影響します。

さらには、VPNへの接続数が多く通信速度が低下する、そもそもVPNに接続できないといったことも考えられます。

テレワークでは、オフィスと違って個々の従業員のネットワーク環境に依存する部分が大きく、その分トラブルシューティングの難易度も上がります。クラウドPBXによる在宅コールセンターの実現には、通信環境等のトラブルに対するサポート体制が欠かせません。

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ネットワーク品質が原因の音声品質低下を回避しよう

IP電話における音声品質の低下は、遅延やエコー、ノイズや途切れとなって現れます。原因はいくつか考えられますが、代表的なのは「ネットワーク通信速度の低下」です。

ネットワークの通信速度が低下して音声品質に影響を及ぼす要因として考えられるのは、企業の拠点とクラウドPBXをつなぐネットワーク/オフィスのネットワーク/在宅環境のネットワーク━━といった、各利用環境のネットワーク環境です。IP電話の音声品質に不満や問題が生じている場合は、音声品質を評価して数値として知り、問題の要因を調査しましょう。

これからクラウドPBXやIP電話を導入するのであれば、ネットワークの通信速度が下がる要因をできるだけ排除した(かつコストバランスに優れた)構成を検討しましょう。

なお、ビーウィズ株式会社が提供するOmnia LINKでは、ソフトバンクの閉域網サービス「SmartVPN(スマートブイピーエヌ)」とのセット販売を行っています。通常はお客様による手配が必須となる閉域網サービスをワンストップでご提供することにより、調達プロセスの一元化が可能です。お客様ごとに最適なネットワーク構成をご提案いたしますので、ぜひご相談ください。
IP電話・クラウドPBXの音声品質とネットワークの関係
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