テキストモニタリングで状況を把握する
リモートワークでコールセンター対応をする際に鍵となるのが、リアルタイムテキストの活用です。SVはクラウドPBXを通じて、オペレーターが自宅で電話対応を行っているやり取りを、テキストでモニタリングすることが可能です。オペレーターがどのような顧客対応をしているかを、リアルタイムで確認できます。
<テキストモニタリングで在宅勤務者の状況を把握する>
オペレーターは、エスカレーションが発生すればチャットでSVに質問するほか、いったん保留してSVに内線電話をかけて確認したり、転送したりできます。その際、オペレーターはPBXの画面から、どのSVが対応可能かも分かります。すぐに空いているSVと会話ができ、転送が必要な場合も何度もかけ直す必要がなくなります。
もちろんオペレーターだけでなくSVも在宅勤務で業務を行うこともあり得ます。その場合、SVは家からエスカレーションに対応し、レポートや報告書、研修資料の作成、あるいは面接や研修も行います。
SVもオペレーターも在宅勤務をしている場合、どのように管理すればうまくいくでしょうか?
1つのやり方としてはチームを編成するという方法が有効です。チーム単位で状況を把握し、在宅勤務でメンバー同士がバラバラで働いていても管理をしやすくします。例えばSVと5人のオペレーターを1つのチームとし、オペレーターの中でリーダーを1人決めておきます。リーダーはSVの補佐のような役割で、仮にSVが対応できない時はリーダーがエスカレーション対応などを担当します。
場合によっては、コールセンターと在宅勤務での顧客対応をハイブリッドで行うケースもあります。東京センター、大阪センター、在宅勤務の3つで電話応対するようなイメージです。
その際、在宅勤務のオペレーターには、問い合わせ内容を絞るといったやり方も有効です。個人情報を聞く必要があるような内容は、セキュリティの観点から東京と大阪のセンターに転送し、在宅のオペレーターはそれ以外の案件に対応します。あるいは、FAXの受注などは東京や大阪のセンターに回し、在宅勤務のオペレーターは電話の受注を優先的に着信させるといった方法もあり得るでしょう。
在宅勤務者を管理する際に押さえておくべき点
在宅勤務のオペレーターを管理する上で気をつける点として、以下のようなことが挙げられます。
■ 頻繁に面談を行う
在宅勤務のオペレーターに対しては通常よりも多く面談するとよいでしょう。
というのも、リモートワークだとどうしても仲間同士のコミュニケーションや雑談の機会がなくなってしまいます。そうなると精神的に落ち込みやすかったり、モチベーションが低下したりするリスクがあります。そこで面談の時間を頻繁に設けることで、わざわざ電話やメールで聞くほどでもないような話をする場を作るわけです。つまり生真面目な感じの面談ではなく、カジュアルな会話の時間を意図的に設定します。もちろん面談はオンラインで実施します。
>>"在宅コールセンター導入を成功させるポイント"を導入事例から学ぶ
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<リモート面談の様子>
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<頻繁に実施して雑談の機会を作る>
■ KPIをちゃんと伝える
在宅勤務で電話対応をしていると、センターのように周囲で電話が鳴っているわけではありません。ほかのオペレーターが電話対応している姿も目に入ってきません。そうなるとついのんびりと業務を行いがちです。これは本人にさぼろうという意識があるのではなく、ほかのメンバーの頑張りが見えない分、どうしてもペースがダウンするのでしょう。
そこで稼働率が落ちていることや、獲得率が低くなっていることなどをきちんと伝えることが大事です。もちろん伝え方には気をつける必要があります。強い口調で指摘すると、本人のモチベーションが下がって逆効果になるので、丁寧に伝えることが大事です。同時に、パフォーマンスがよかった場合は、しっかりと褒めることも忘れずに行いましょう。
■ SV向けのマネジメント研修を行う
リモートワークを円滑に進めるために、SVを対象とした研修を実施します。
内容としては、
・Zoomの画面共有の仕方
→画面全部ではなくファイルを絞って共有し余計な情報が漏れないようにする。
・チャットの指示の出し方
→テキストの指示は無機質になりがちなので細かな言い回しに気を付ける。
・雑談の重要性
→先述の通り、オペレーター同士の会話がなく孤立しがちなので、皆で雑談できる時間を設ける。
などです。
研修の内容はどれも些細なことのように見えますが、現場の運営ではこうしたことに気を配るのが案外大事です。
経済合理性は非常に優れている
ビーウィズではコロナ禍になってオペレーターのリモートワークを始めましたが、これまでのところ離職率は低くなっています。また、オペレーターの勤怠も良好です。センターに出勤する場合、少し具合が悪ければ欠勤していたケースでも、家であれば休まずに働けるということがあります。通勤がないため遅刻はほとんどなく、深夜に1時間だけ働いてもらうといったことも可能です。
本格的にリモートワークを始めてまだ期間が短いため、今後離職率や勤怠がどのように推移するかはしっかり見極める必要がありますが、現時点では一定の手ごたえを感じています。
また、経済合理性の観点で見ると、リモートワークは非常に優れていると言えます。
・短時間やスポットの勤務に対応できる
・拠点が必要ない
・交通費が必要ない
こうした点だけでもメリットはあります。
オペレーターも通勤の必要がないことをメリットと捉える向きが多いです。ただ、センターに来ると、仲間に会えてコミュニケーションができるという点は魅力です。また、机やイスなどの設備もセンターのほうがいいでしょう。
これらの点を考慮すると、リモートワークと出勤をオペレーターが自由に選択できるのがベストかもしれません。
ちょっと人に会いたいなと感じた日は出勤し、体調があまり優れないけれども休むほどではない場合はリモートワークにするなど、体調などを踏まえて選択できればオペレーターの満足度向上や離職率の改善が期待できそうです。
今回は在宅勤務を実施する際のポイントや注意点を取り上げました。SVなど在宅勤務を管理する立場の人は参考にしてもらい、スムーズな現場運営につなげてもらいたいと思います。
在宅勤務のマネジメントは大丈夫?姿が見えないオペレーターを上手に管理するコツ
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