通話中・保留・後処理におけるテキスト活用
通話内容のリアルタイムテキスト化は、「通話中」「保留」「後処理」といった工程で活用できます。
「通話中」であれば、以前はお客様とのやり取りを記録するために、オペレーターはメモを取っていました。そのため、うまくメモすることがオペレーターに求められていました。時にはメモを取る方法を研修で教えることもありました。
それに対して、通話内容をリアルタイムでテキスト化することで、オペレーターはメモの取り忘れや聞き逃しなどの不安を払しょくできます。メモは必要最小限になるため、お客様との会話に集中でき、通話品質の向上に寄与します。そもそもメモを取るための研修も必要がなくなります。また、お客様の発話をテキストでも確認できるため、通話中の聞き間違いも減らせます。
SV(スーパーバイザー)にとってもメリットがあります。
通話内容をリアルタイムモニタリングする際に音声ではなくテキストでチェックすれば、音声の場合のように1人ずつ確認するのではなく、複数人のやり取りを同時にチェックできるので、生産性は格段に上がります。
「保留」中のエスカレーションを受けた時は、SVはどんなやり取りが行われていたかテキストを見ればすぐに把握できます。わざわざ音声を聞く必要がなく、時間の短縮ができます。お客様を待たせる時間も短くなり、顧客満足度の低下を防ぐことにもつながります。
「後処理」においても、通話時のテキストが残っているため、作業が簡単になり生産性が上がります。
また、後処理の際にキーボードによるタイピングが遅い人は、自分が発話した音声をテキスト化して入力する機能を活用することで、素早い入力が可能になります。この機能は後処理のエスカレーションでも活用できます。オペレーターがどう入力すべきか分からずSVにアドバイスを求めた場合、SVはオペレーターのヘッドセットに話しかければ、その発話がそのままテキストに変換されるため、入力すべき内容をオペレーターに簡単に伝えることができます。
<リアルタイムテキスト化で業務効率や生産性が向上>
リアルタイムテキストで機会ロスの削減も
通話中・保留・後処理以外のケースでもリアルタイムテキストデータを活用できます。
例えば、電話を切ってから再度同じお客様から問い合わせが入ることがあります。そうした際も、以前であれば録音データを聞き直して前回のやり取りを確認していましたが、テキストデータがあれば短時間で確認作業を行うことが可能です。
また、通話時間が1時間など長い通話内容の中から必要な部分の音声を聞き直す場合、音声データの中からその場所を見つけだすのは大変です。そんな時でもテキストデータがあれば、聞き直したい個所を先にテキストで特定しておいた上で音声データを聞けば、確認時間を短縮でき、作業効率を上げることができます。
さらに通話時のテキストデータを活用することで、機会ロスを削減することも可能です。以下のような事例がそうです。
通販の案件で、受注の電話が特定の時間帯に集中したとします。機会損失を減らすために、後処理作業は後回しにして、ひとまずどんどん受電します。そうすることで呼損を極力なくします。そして落ち着いてから、応対時のテキストデータを確認して後処理作業や商品の発送作業を行うわけです。
テキストデータがない現場では、お客様の名前と連絡先を聞いていったんメモを取っておき、後からスナッチ対応で折り返していました。しかしスナッチ対応では折り返してもつながらないケースがあり、機会ロスが生じてしまいます。上記のように通話時のテキストデータを活用することで、機会ロス削減が可能になります。
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今後期待される「要約」機能
コールセンターの業務でリアルタイムテキスト化が浸透していく中で、次に注目されているのが、話した内容をAIが要約する機能です。会議やミーティングなどのやり取りをリアルタイムでテキスト化し、さらにその内容を自動で要約するというものです。
実際に、地方自治体の議会などでは、この技術を導入している事例があります。
ただ、議会のように話される内容が特定されていて、テーマや趣旨が明確なやり取りであればAIで要約することは可能ですが、企業の会議や取引先との打ち合わせのように話の中で意味があるものとそうでないものをAIが判別するのは容易ではありません。そうした点がネックとなり、自動の要約については技術的にまだ道半ばというのが実情です。人間も文章を要約すると、人によって品質にバラつきがでがちですよね。これはAIにとっても同じということです。
なお、GoogleはAIが前後の文脈から会話の内容を予測し、言葉を追加するような技術を開発しています。厳密には要約とは異なりますが、話に合わせて言葉を補足するためには会話の内容を把握している必要があり、その点では要約に近い作業をしていると言えるかもしれません。
<リアルタイムテキストの活用>
今回はリアルタイムテキストデータが現場でどのように利用されているか紹介しました。こうした活用の背景には、音声認識の精度の高さがあります。人の会話を認識してテキスト化する技術が進歩したことで、現場の生産性も向上しているわけです。
ちなみに、ビーウィズのクラウドPBX「オムニアリンク」では、Googleとマイクロソフトの2つのエンジンを採用し、互いの強みを生かして弱みを補完するようにしています。認識精度は、普段の業務でまったく支障がないレベルになっています。
生産性向上のカギにもなる「テキスト化」。是非その精度を試してみてください。