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新たにセンターを作るときのテレフォニー設計

コールセンターの設計図「コールルーティング」を徹底解剖!~第3回:コールルーティングの具体的な設定~

2022年5月24日
コールルーティングの3回目は、コールセンターの内部設計について解説します。前回は組織づくりや拠点間の分担など、いわばコールセンターの全体設計の観点からコールルーティングを説明しましたが、今回はより具体的なルーティングの設計について確認してみたいと思います。センターを稼働する際に避けて通れない事柄になるので、ぜひチェックしてください。

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コールフローで最適な呼分配を探る

具体的にコールルーティングを設計する際に欠かせないのが、ACD やIVRです。どちらも当コラムですでに取り上げていますが、改めて簡単に整理すると以下になります。

【ACD】
「着信呼自動分配装置」や「自動呼分配」などと訳され、コールセンターに寄せられる呼をオペレーターに均等に振り分けたり、稼働状況の統計管理を行ったりするシステムです。 (ACDコラムはこちら)

【IVR】
「自動音声応答システム」とも呼ばれ、コールセンターに入電があると、あらかじめ用意していた案内を音声ガイダンスで自動的に流します。お客様が用件に合わせて番号を入力すると、その用件に紐付いたオペレーターに電話を振り分けます。 (IVRコラムはこちら)


コールルーティングを具体的に設計する上で、ACDやIVRをどのように活用して最適な呼分配を実現するかを考える必要があります。その際に役立つのがコールフローです。

コールフローは、お客様の問い合わせ内容に合わせて応対先を適切に振り分けたもので、図示することで呼の流れが把握しやすくなります。
ACDやIVRに加えて、営業時間外の対応や待ち呼の数なども踏まえてコールフローを作成し、最適な呼分配になるよう問い合わせの流れを整えます。

ただ、どのセンターでも待ち呼や回線数の設定は運用状況に合わせて調整していくのと同じように、コールフローの設計も臨機応変に改善していくことが多いです。
コールフローの例
<コールフローの例>

IVRの音声ガイダンス設計で注意すること

上記でIVRについて触れましたが、IVRを使って用件別に呼を振り分ける際に、コールリーズンの分析が欠かせません。お客様がどういった目的で電話をかけてきたか、その理由を把握することで、音声ガイダンスで流す問い合わせの種類や順番を決定するのです。

IVRで流す音声ガイダンスでは、コールリーズンが多いものから順に選択肢を提示していくのが原則です。携帯電話に関する問い合わせで、コールリーズンが多い順に「料金」「操作方法」「契約」「解約」であれば、その順番でガイダンスを流します。

しかし、ガイダンスの設定時にコールリーズン以外の要素を考慮することもあります。
例えば、ある通販の案件でコールリーズンを分析すると、「返品」60%、「問い合わせ」30%、「注文」10%という内訳だったとします。ただ、その通販案件においては「注文」が最も優先度が高く、その次に「問い合わせ」で、「返品」は優先度が最も低くなります。この場合、IVRで流す音声ガイダンスは「1番:注文」「2番:問い合わせ」「3番:返品」とすべきでしょう。コールリーズンとはまったく逆の順番です。

もちろん案件ごとにいろいろなケースがあり一概には言えませんが、上の通販の例のように優先度を考慮することも大事です(コールルーティング1回目の要素④【優先順位】の項目も参考にしてください)。
ただ、だからと言ってコールリーズンを軽視していいわけではありません。お客様のニーズはしっかりと把握した上で、最適なガイダンス設計を行うことが大事です。
IVR設定時に必要な考え方
<IVR設定時に必要な考え方>

複数のルーティングを組み合わせる

コールルーティングを設計する際に、さまざまなルーティングの手法を参考にするのも大切です。実際の運用では、以下に紹介する複数のルーティングを組み合わせることが多いです。個別に見ていきましょう。
■入力指示ルーティング
音声ガイダンスを流して、お客様が希望する窓口の番号を押すと指定の番号に着信します。

■発信地域ルーティング
発信地域によって指定した着信先に振り分けます。東日本は北海道センター、西日本は福岡センターのようなイメージです。

■発信地域指定
事前に指定した地域からの電話のみ着信させます。

■発信局番ルーティング
発信した局番によって、指定した着信先に振り分けます。

■発信電話番号ルーティング
特定の番号から発信した呼を、指定の番号へ着信させます。

■発信端末種別ルーティング
固定電話や携帯電話などお客様の電話機に応じて着信先を振り分けます。

■接続先変更
時間により着信先を変更します。日中は内製で対応し夜間のみ外部に委託するといったことも可能です。

■音声認識プロンプトルーティング
お客様が発話した商品名や問い合わせ内容に応じて着信先を振り分けます。

■顧客区分ルーティング
お客様の中でも上位顧客からの問い合わせは、優先的に着信させたり事前に指定しておいた受付グループに転送します。

以上が代表的なルーティングになります。
これらのルーティングをうまく組み合わせて、活用してもらいたいと思います。

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様々なルーティングの例
<様々なルーティング>

分析と改善を繰り返してベストプラクティスを

ここまで全3回にわたってコールルーティング(呼分配)について見てきました。

コールルーティングを作成する際に気を付けたいのが、どこか別のコールセンターを真似すると間違ってしまうということです。
というのも、コールボリューム、案件の内容、組織、オペレーターのスキルセット、地域など、さまざまな条件がセンターごとに完全に違ってくるからです。そのため、そのセンターに合ったコールルーティングを模索して構築していく必要があります。
例えばACDやIVR、待ち呼、回線数の設定なども、各拠点の状況に合わせて試行錯誤を繰り返しながら、最適なものを選択するしかありません。そのためには自分たちのコールセンターの状況をしっかりと把握し、お客様のコールリーズンを見極めることが大切です。

現状に満足せずに、分析と改善を続け、そのセンターにおけるベストプラクティスを探ってみてください。

次回は、コールルーティング(呼分配)を踏まえてさらに細かく設定する「コールフロー図」について紹介します。
コールルーティング③ ~コールルーティングの具体的な設定方法~
コールセンターの設計図「コールルーティング」を徹底解剖!~第3回:コールルーティングの具体的な設定~
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