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新たにセンターを作るときのテレフォニー設計

コールセンターの設計図「コールルーティング」を徹底解剖!~第1回:コールルーティングに必要な要素とは?~

2022年5月10日
今回は「コールルーティング」を取り上げます。コールルーティングとは、コールセンターにかかってくる呼を割り振る仕組みを指した言葉です。簡単に言うと「呼分配」という意味になります。コールルーティングは、コールセンターを適切に運営する上で外せません。その領域は広範囲にわたるため、3回に分けて解説します。1回目はコールルーティングに必要な要素について整理します。

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コールセンターを立ち上げる設計図

コールルーティングは、コール(呼)のルート(道筋)を作ることです。呼分配ということになりますが、より広く解釈すると、お客様からの問い合わせにどのように応じるかという観点からコールセンターの戦略を練り上げていくこと、と言ってもよいでしょう。

例えば「拠点をどこに作るか」「席数はどのくらいにするか」「組織をどのように設計するか」「どのようなスキルセットが必要か」「顧客接点となるチャネルは何を用意するか」などなど──。こうした事柄もコールルーティングの一部です。

インフラがまったくないところに、交通網を整理する場合をイメージしてみてください。予想される交通量、その道路の行き先、必要な道幅、車線の数、信号機の有無、そうしたことを一から考えなければいけないですよね。
これをコールセンターに置き換えた時に、コールルーティングの視点が必要です。いわば、コールセンターを立ち上げたり電話をつないだりするための設計図です。
コールセンター構築にはコールルーティングが必要
<交通網を一から整理するように、コールセンター構築にはコールルーティングが必要>

コールルーティングで大事な6つの要素

コールルーティングを設計する時に、前提となるのが「顧客視点」です。言葉の通り、お客様の目線に立ってセンターを構築していくのですが、その際に押さえておくべき要素を紹介します。

要素① 【コールリーズン(コンタクトリーズン)】 どのような電話がかかってくるのか?

コールリーズンは文字通り、お客様がコールセンターに電話をかける理由です。
コールリーズンを分析した結果、事故受付など緊急性の高い入電が多いと分かれば、その窓口はつながりやすくしておく必要があります。請求書の問い合わせが多ければ、請求書の発送時期に合わせて入電が増加したということが見えてきます。このように問い合わせの傾向がつかめれば、オペレーターが身につけるべきスキルがおのずと明らかになります。コールリーズンの視点は要素②以降にも関連してきます。

なお、コールリーズンをどのような項目に分けるかは、業種やサービス内容によって異なります。以下に例を挙げてみます。

■通販案件のコールリーズンの分け方
注文(新規or既存)、注文(単発or定期)、問い合わせ(注文前or注文後)、キャンセル、配送など
■銀行案件のコールリーズンの分け方
店舗・ATM、サービス、口座開設、解約、暗証番号、入出金、振込・振替、名義変更など
コールリーズンを項目ごとに分けて把握することが重要
<コールリーズンを項目ごとに分けて把握する>
要素② 【チャネル】 どのようなチャネルで対応するのか?
昨今ではコールセンターの対応チャネルは電話だけでなく、有人のチャットや無人の自動化されたチャットボット、LINE、メール、あるいはウェブに誘導してFAQを活用したりと多岐にわたります。こうしたチャネルの設計もコールルーティングの重要な要素です。

どのチャネルを利用するかは年代別でも異なります。40代まではチャットを利用するケースが多い傾向がありますが、高齢層になると電話を使うといったことも指摘されています。このあたりはコールリーズンとも絡んできます。

要素③ 【ボリューム】 どの程度のコールボリュームがあるのか?
コールセンターに寄せられる呼量を把握します。完全に新規で立ち上げる場合は、販促施策や顧客数などさまざまなデータをもとにコールボリュームを推測します。他拠点からの移管や複数拠点の統合などのケースであれば、過去の実績から予想されるボリュームを導きます。
一日のピークはどこにあるか、月間の呼量や繁閑、年間の季節波動はどの程度あるか。その波動はなぜ起こる(コールリーズン分析)のか。そうしたコールボリュームをしっかりと押さえておくことが大事です。

要素④ 【優先順位】 問い合わせの中で何を優先すべきか?
問い合わせ内容に対する優先順位を明確にしておくことが重要です。
例えば通販の案件であれば、「注文」「問い合わせ」「キャンセル」などの項目のうち、最も重視されるのは「注文」です。月間1万件の呼があって、そのうち注文が2000件であれば、その呼を取り切ることが何よりも優先されます。つまり収益を生み出す「注文」は優先順位が高くなるため、しっかりと人を稼働させます。逆に「キャンセル」などは呼減したいので、ウェブに流してもいいわけです。
ただ、あまり返品やキャンセルへの対応をおろそかにすると、今度はレピュテーションリスク(否定的な評判が広まり信用やブランド価値が低下するリスク)が高まります。そういう意味では、優先順位には企業姿勢がはっきり現れると言えます。

要素⑤ 【露出】 商品やサービスをどのように露出しているか?
商品やサービスの訴求方法や見せ方は、コールセンターの運営にも影響します。ダイソンの掃除機は、問い合わせの電話番号が掃除機本体に明記されています。利用者は故障や不具合があればすぐに連絡できるようになっているのです。同様に、コンビニエンスストアで売っているPB商品にも電話番号が記載されています。
このように、企業がカスタマーサービスを行うスタンスが露出に反映されます。コールセンターも露出の「受け皿」として、しっかりと連携していく必要があります。仮に、企業がCMやDMを打てば呼量が大幅に増えます。オペレーターはそうした動きを踏まえて対応しなければなりません。

要素⑥ 【ターゲット】 どんな顧客層をターゲットにしているか?
企業が何らかの商品やサービスを展開するにあたり、ターゲット顧客を設定します。60代以上、女性、富裕層などなど。コールセンターはそうしたターゲット層を理解した上で、オペレーターの選定やチャネルの設定などを行う必要があります。
仮に、高齢者をターゲットにして共感マーケティングを行うのであれば、オペレーターの年齢は高いほうがより親近感が増すでしょう。若者向けに商品を販促するのであれば、チャネルはチャットやLINEを用意しておくと有効です。このようにターゲットはコールルーティングのほかの要素にも絡むので非常に大切です。

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コールルーティング設計に必要な要素のまとめ
<コールルーティング設計に必要な要素_まとめ>

要素を分解して現場に落とし込む

上記の6つの要素のうち、どの要素から順に見ていくかはセンターの状況によって変わります。仮に新規センターの立ち上げであれば、ターゲットを明確にしてから、それ以外の要素について考えていくのが有効かもしれません。あるいは多店舗の顧客対応を1つのコールセンターに集約するのであれば、これまでのデータからコールリーズンが把握でき、そのコールリーズンをもとに利用チャネルやターゲット層の分析が可能になります。

ここまでコールルーティングに必要な要素を見てきました。コールルーティングと言うと漠然としたイメージになりがちですが、個別に要素を分解することで具体的な現場の運営に落とし込めるのではないでしょうか。

第2回目は、コールルーティングから見た組織設計について解説します。

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